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ペットと一緒に暮らせる老人ホームとは?安心して過ごすための条件と選び方

「大切なペットと離れたくない」と思うのに、年齢は関係ありません。

近年では、そうした思いに応え、ペットと一緒に入居できる老人ホームへの関心が高まっており、ペット同伴可能な施設も存在します。この記事では、ペットと安心して暮らせる老人ホームの特徴や選び方、入居時に確認すべきポイントについて詳しく解説します。

高齢者にとってペットはどんな存在か

年齢を重ねるにつれ、日常生活での人との関わりが少なくなり、孤独を感じやすくなる方も少なくありません。そうした中で、ペットの存在は、心の支えとして大きな意味を持ちます。

特に高齢者にとって、ペットは日々の世話や触れ合いを通じて、心の安らぎや精神的な安定をもたらす存在です。

ペットがもたらす精神的・身体的効果

ペットと暮らすことによる心身への良い影響は、さまざまな研究でも明らかにされています。
たとえば、毎日そばにいる存在を感じることで、孤独感が和らぎます。犬の散歩や猫の世話をすることで、自然と体を動かす機会が増え、活動量の向上にもつながります。また、撫でたり目を合わせたりすることで、穏やかな気持ちになる効果も。こうした影響は、高齢期の生活の質を支えてくれます。

調査データが示すポジティブな変化

ペットと暮らす高齢者が実感している良い変化は、調査データにもはっきりと表れています。

アイペット損害保険株式会社が2023年に発表した調査によると、60歳以上の回答者のうち、約95%が「ペットと暮らすことで良い変化があった」と答えています。

また、東京都健康長寿医療センターの研究(2023年)では、犬を飼っている高齢者は、そうでない人と比べて認知症を発症するリスクが約40%低いという結果が報告されています。とりわけ、「毎日散歩をする」という生活習慣が、身体活動の維持や社会的なつながりを生む好循環につながっていると考えられています。

ペットと離れて暮らすことの影響

心身へのマイナスの影響

高齢者にとって、ペットとの別離は「人との別れ」と同等、時にはそれ以上の深い喪失感を伴うことがあります。長年寄り添ってきたペットと暮らせなくなるショックは大きく、関係が深いほどその影響は大きくなります。

家族にも及ぶ感情的・実務的な負担

高齢者がペットと一緒に施設へ入居できない場合、家族がそのペットを引き取るか、他の預け先を探す必要が生じます。加えて「本当は一緒に暮らさせてあげたいけれど、現実的に難しい」といったジレンマを抱える家族も少なくありません。

また、希望する地域や予算の範囲内で、ペット同伴可能な施設を見つけるのは簡単ではなく、選択肢が限られるのが実情です。
仮に家族がペットを引き取った場合でも、通勤や住環境、家族構成の変化により、生活への負担が大きくなるケースもあります。このように、ペットと離れて暮らす選択は、高齢者本人だけでなく、その家族にも感情的・実務的な影響を及ぼします。

ペットと暮らせる老人ホームの現状

ペット同伴で入居できる施設もある

近年では、「その人らしい暮らし」を尊重する流れが強まり、ペットと共に暮らせる環境が高齢者施設でも求められています。単身高齢者や家族と同居する人でも退職後の生活に癒しや生きがいをペットに求める傾向もこういった施設が求められる背景にあるといえるでしょう。
こうした中で、一部の有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅(サ高住)では、ペット同伴の入居を可能とする取り組みが始まっています。
たとえば、関西圏にあるとある施設では、獣医師と連携した健康サポート体制を導入するなど、入居者とペットが安心して暮らせる環境づくりが進んでいます。

ペット同伴可能な施設の特徴と実例

ペットと暮らせる高齢者施設には、足洗い場やトリミングルームなど、ケアに配慮した設備が整っています。入居者同士の交流を促すために、ペットと一緒に参加できる散歩会や写真展示といったイベントを実施している施設もあります。
ペットを介した自然なコミュニケーションが生まれるのも、こうした施設の魅力です。東京都内のある施設ではドッグランを完備し、小型犬や猫を同伴した入居者が互いに交流できるようにしています。

入居時の確認ポイントと注意点

受け入れ条件の確認

ペット同伴可能な施設でも、すべてのペットが入居できるわけではありません。たとえば、「犬や猫に限る」「体重10kg未満」「1世帯1匹まで」など、種類や大きさ、頭数に関する制限があるケースが多いです。
また、狂犬病予防接種の証明書やマイクロチップの登録を求められることもあります。条件は施設によって異なるため、見学時にはパンフレットや規約を確認し、不明点は職員に直接尋ねましょう。「想定と違った」と後悔しないためにも、事前確認が大切です。

飼育に関するルールや費用負担

ペット同伴可能な施設では、通常の利用料に加えて、清掃や管理にかかる追加費用が上乗せされることがあります。トリミング代や餌代などの日常的な費用も、基本的には入居者の自己負担です。「ペットを受け入れているからといって、世話も施設が行ってくれる」とは限りません。

ペットのケアを誰が担当するかは、施設ごとに異なります。入居者本人が行うのか、家族の協力が必要か、あるいは施設側の支援があるのかなど、事前に必ず確認しましょう。

他の入居者への配慮も忘れずに

ペットを飼っていない入居者も同じ施設で生活していることを忘れてはいけません。安心して共生するためには、周囲への配慮とマナーの徹底が求められます。

たとえば、鳴き声が他の入居者の生活に影響しないように配慮したり、排泄のマナーを守るよう躾たりすることが大切です。また、臭いや抜け毛への対策も必要です。共用スペースを移動する際には、リードをつけるかケージに入れるなど、安全面への配慮も欠かせません。

トラブルを未然に防ぐためにも、ペットの飼育に関するルールや配慮点について、あらかじめ施設側や他の入居者と丁寧に確認し、合意形成をしておくことが重要です。

高齢者にとってペットは、癒しや趣味の枠を超えた、日々の暮らしを支える大切なパートナーです。ペットとの別離は、精神面かつ身体面の健康に影響を及ぼすこともあるため、ペットと一緒に暮らせる老人ホームという選択肢は、今後ますます求められていくでしょう。

施設を選ぶ際には、受け入れ条件や追加費用、他の入居者との共生に関するルールなどを丁寧に確認し、本人と家族の双方が納得できる環境を見つけることが大切です。安心して暮らせる場を選ぶためにも、事前の情報収集が欠かせません。