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高齢者の特殊詐欺被害を防ぐ!家族とできる最新の防犯対策

高齢者を狙った詐欺事件が後を絶ちません。特に家族と離れて暮らす高齢者は詐欺のターゲットになりやすい傾向があります。被害を防ぐためには、本人が日頃から警戒心を持つことに加えて、家族も「自分たちの問題」として捉え、対策を講じる姿勢が欠かせません。この記事では、現在の詐欺の主な手口や高齢者が被害に遭いやすい背景を整理したうえで、家族と本人それぞれができる防犯対策を詳しく紹介します。

高齢者の詐欺被害は深刻化している

高齢者ほど被害に遭いやすい

警察庁が公表した「令和6年版 特殊詐欺対策資料」によると、令和5年に全国で認知された特殊詐欺の被害件数は2万1043件で、被害者が65歳以上の高齢者であった割合は65.4%に上っています。特殊詐欺とは、電話やSMS、インターネットなどを通じて行う詐欺の総称です。

高齢者が狙われる特殊詐欺の最新手口

詐欺の手口は年々巧妙化しており、声色を変えるだけでなく、家族の名前や職業など詳細な情報をもとに信じ込ませようとするケースもあります。また、公的機関を名乗ってATM操作を促したり、「必ず儲かる」と投資を持ちかけたりと、さまざまな手口で金銭をだまし取ろうとします。ここでは、特に被害が多い代表的な手口を紹介します。

なりすまし型詐欺

息子や孫、親戚などを装って電話をかけ、「事故を起こした」「会社の金を使い込んだ」などと嘘をつき、現金を要求する「オレオレ詐欺」が典型例です。最近では、声を変えたり、泣きながら話したりするなど、演技力を駆使した巧妙な手口も目立ちます。さらに、家族構成や職業、会社名や役職といった個人情報を入手し、それらの情報を使って本人になりすますケースもあり、被害者に事実と信じ込むように仕向ける手口も増えています。

公的機関を騙る詐欺

「医療費や税金の還付がある」と偽り、ATMに誘導して操作させる還付金詐欺や、「キャッシュカードを確認する必要がある」などと警察官や銀行職員を名乗ってカードをだまし取るキャッシュカード詐欺盗などがあります。

その他の詐欺手口

架空請求詐欺 「有料サイトの利用料が未納です」といったメッセージを送り、支払いを迫る手口。
施設入所権利詐欺 人気の介護施設に優先的に入れると偽り、高額な申込金を要求するケース。
投資詐欺・SNS詐欺 「必ず儲かる」「元本保証」などと謳い、未公開株や暗号資産への投資を勧誘する。SNSを通じて接触し、親密な関係を装うケースもあります。

高齢者が詐欺被害に遭いやすい理由

特殊詐欺の被害者の多くが高齢者である背景には、加齢に伴う認知機能の変化だけでなく、社会的な孤立や情報格差といった複数の要因が絡んでいます。

判断力や認知機能が低下するため

高齢になると、記憶力や注意力、判断力が低下する傾向があります。とくに急な電話やプレッシャーのかかる場面では冷静な判断が難しくなり、詐欺に巻き込まれやすくなります。

不安や孤独感で、話を信用しやすいため

配偶者との死別、友人や家族との関係の希薄化など、高齢者は孤独を感じやすい状況にあります。さらに、健康や生活資金への不安を抱えていると、人との交流を避けたり、自信を失ったりして、孤独感がいっそう深まることもあります。こうした状況下では、「優しい声」や「親身な言葉」に安心感を抱き、詐欺犯の言葉を信じてしまうことがあります。

若い年代と比べて、スマホやネットに不慣れなため

スマートフォンやインターネットの利用に不慣れな場合、詐欺に関する最新の情報を得る機会が少なく、結果として手口の進化に気づきにくくなります。

家族ができる具体的な防犯対策

高齢者を詐欺から守るには、家族の協力がとても大きな意味を持ち、欠かせないものです。とくに高齢者本人が被害に気づきにくい場合でも、身近な家族が注意を払えば、被害を未然に防げるケースは少なくないのです。同居・別居それぞれのケースで対策を紹介します。

同居している場合の対策

日々のコミュニケーションを通じて防犯意識を高めましょう。たとえば、食事中の会話で「最近こういう詐欺が流行っているらしいよ」と話題に出し、詐欺についての情報を共有するだけでも注意喚起になります。

また、通帳やキャッシュカードの保管場所について家族と情報を共有し、管理をサポートすることも大切です。引き出し限度額を設定するのもよいでしょう。

加えて、固定電話には留守番電話機能や非通知着信の拒否設定を導入し、不審な電話に応答する機会を減らす手段を講じるのも有効です。

別居している場合の対策

別居の場合は、定期的な電話や訪問を通じて、健康状態や生活の様子を把握しましょう。自治体が提供している高齢者の見守り支援制度や、民間の見守りサービスを活用するのも手です。離れて暮らしていても、第三者の目による日常の見守りがあるだけで、家族にとっても安心感が増します。

さらに、詐欺に関する相談窓口として、消費生活センターや市区町村の行政窓口の情報をあらかじめ家族で共有しておくことも大切です。万が一、詐欺と思われる連絡があったときに、相談先がわかっていれば、すぐに対応できます。

防犯環境の整備という点では、ALSOKでも提供しているホームセキュリティサービスの導入を検討するのも一つの方法です。非常通報システムや外部との連携機能を備えた見守りプランもあり、特に遠方に住んでいる家族にとっては、日々の安心を支える有力な手段となるでしょう。

高齢者本人ができる防犯対策

本人が防犯を意識して行動することも大切です。難しい対策でなくても、ちょっとした心がけが被害を未然に防ぎます。

日頃の警戒行動

知らない番号からの電話には出ない、不審な電話はすぐに切るといった対応を徹底することで、詐欺犯との接点を減らせます。相手に悪意があるかどうか判断に迷うような場合は、ひとりで抱え込まず、すぐに家族や信頼できる知人に相談するようにしましょう。

また、地域ごとの詐欺被害の傾向を知る手段として、自治体や警察の情報提供を利用するのも効果的です。こうしたサービスでは、特殊詐欺の発生情報や最新の手口、不審者情報などをメールで受け取ることが可能です。スマートフォンやパソコンから簡単に登録できるため、本人が操作に不安がある場合は、家族が代理で登録して一緒に情報を共有するのもよいでしょう。

個人情報を守る行動

キャッシュカードや暗証番号は、たとえ公的機関や銀行を名乗る相手であっても絶対に渡してはいけません。また、「ATMで医療費や税金の還付が受けられる」といった話は詐欺です。そうした手続きは存在しないという認識を持っておくことで、だまされるリスクを減らせます。

もし詐欺に遭いそうになったら

どれだけ気をつけていても、詐欺の手口は巧妙で、被害に遭いそうになることもあり得ます。そんなときこそ、落ち着いて正しい行動を取ることが被害の拡大を防ぐ鍵となります。

相談・通報

詐欺かもしれないと思ったら、すぐに警察や消費生活センターに相談しましょう。

金融機関への対応

振り込み手続きを進める中で「なんだかおかしい」と感じたら、直感を大切にして振込の中止を行員に申し出ましょう。ATMの操作中に違和感を覚えた場合も、操作を中断することが大切です。

最近では、金融機関でも高齢者の不審な振り込みに対して声をかけたり、確認を行ったりする取り組みが広がっています。

一度振り込んでしまうと、被害金を取り戻すことは非常に困難です。「念のため」「ちょっと気になる」と思ったときこそ、立ち止まり、誰かに相談することが防衛策になります。

証拠の保存

詐欺の疑いがあるやり取りについては、あとから状況を説明できるよう記録を残しておくことが大切です。電話でのやり取りは内容をメモし、通話履歴や着信記録、LINEやメールの画面はスクリーンショットで保存しておきましょう。また、振込先として指定された口座名や名義などの情報も記録しておくと、警察や関係機関の調査に役立ちます。

特殊詐欺の手口は巧妙化しており、高齢者が狙われるリスクは高まっています。だからこそ、本人はもちろん、家族も日頃から防犯意識を持ち、被害を未然に防ぐ行動を取ることが重要です。

参考:

「令和6年版 特殊詐欺対策資料」警察庁
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024.pdf