老人ホームでも自由に外出/外泊できる!?
知っておきたいルールとサポート体制
「老人ホームに入居すると、外出や旅行ができなくなってしまうのでは?」「家族との外食や旅行を楽しむことはもう難しいのでは?」そんな心配をされている方も多いのではないでしょうか。
実は、多くの老人ホームでは、入居者の健康状態や施設の規則に応じて、日常的な買い物や外食から、家族旅行までさまざまな外出が可能です。施設によって異なりますが、事前の届出や体調確認など基本的なルールを守れば、入居前と変わらない自由な暮らしを楽しむことができます。
ここでは、老人ホームでの外出や旅行に関するルールや注意点、安全に楽しむための準備、さらには外出のサポート体制や活用できるサービスまで、具体的にご紹介します。
老人ホームでも外出自由!施設タイプ別の外出ルールを解説
老人ホームでの外出は、施設の種類によって異なるルールが設けられています。一般的には次のような規則を定めているところが多いようです。
| 介護付き有料老人ホーム | 施設スタッフへの事前報告が必要。健康状態によって外出可否を判断する。 |
|---|---|
| サービス付き高齢者向け住宅 | 基本的に自由な外出が可能。長期の外出時は事前連絡が必要。 |
| グループホーム | 認知症の方の安全確保のため、家族同伴での外出を推奨。 |
このように、施設によって外出ルールは異なりますが、多くの場合、入居者の意思や自立度を尊重した対応がなされています。また、介護保険外のサービスを提供する施設では、買い物や通院の付き添いなど、個別の外出支援も行っています。
老人ホームからの外出時に確認!安全に楽しむための5つのポイント
老人ホームからの外出や外泊を楽しむためには、いくつかの準備と確認が必要です。以下の5つのポイントをしっかり押さえておきましょう。
(1)施設への事前届出:外出予定日時と帰着予定時刻を明確に
外出・外泊届は、通常は数日前までに提出が必要です。届出には外出先の住所や連絡先、同行者の情報なども記入します。予定の変更がある場合は、必ず施設に連絡を入れましょう。
(2)体調管理:当日の健康状態チェックと必要な薬の携行
外出前日から体温、血圧、体調の変化をチェックします。普段服用している薬は、予定より少し多めに持参するのがおすすめです。お薬手帳も携帯しましょう。体調に不安がある場合は、無理せず予定を変更することも検討してください。
(3)緊急連絡先:施設と家族間での連絡体制の確認
施設の緊急連絡先(夜間・休日用)、かかりつけ医の連絡先、同行する家族の携帯電話番号などを記載したメモを準備します。スマートフォンをお持ちの方は、これらの情報を電話帳に登録しておくと安心です。外出先での体調変化やトラブルに備えて、近隣の救急病院の場所も事前に確認しておきましょう。
(4)外出先の環境:バリアフリー設備や休憩場所の確認
車椅子やシルバーカーを使用する方は、スロープや障害者用トイレの有無を確認します。長時間の外出の場合は、途中で休憩できる場所(ベンチやカフェなど)をチェック。レストランなどは、座りやすい席を事前に予約しておくとスムーズです。階段の多い場所は避け、エレベーターやエスカレーターが利用できる経路を選びましょう。
(5)天候への配慮:季節や天気に応じた準備
天気予報をチェックし、雨具や防寒具、日よけ対策などを準備します。真夏や真冬は、体調を崩しやすい時間帯(日中の暑い時間帯や、早朝・夜間の寒い時間帯)を避けて行動計画を立てましょう。また、急な天候変化に備えて、上着や折りたたみ傘なども持参すると安心です。
これらの点に気を配ることで、安心して外出を楽しむことができます。特に体調管理は重要で、外出前日からの健康チェックを心がけましょう。また、初めての外出先への長時間の外出は避け、まずは近場への短時間の外出から始めることをお勧めします。慣れてきたら、少しずつ行動範囲を広げていくようにしましょう。
老人ホームからの旅行や自宅での宿泊|家族と楽しむためのヒント
寝泊まりをする「旅行」を楽しむためには、適切な準備と手続きが大切です。ここでは、基本的な準備から、外泊・旅行時の具体的なアドバイスまでご紹介します。
基本的な準備と手続き
まず、以下の4点について、確認と手続きを行いましょう。
- 外出・外泊届の提出:施設へ提出。外出先の詳細や緊急連絡先などを記入。
- 医療情報の準備:かかりつけ医の連絡先、服薬情報、お薬手帳の準備。必要な薬は多めに持参。
- 必要な介護用品:施設からの貸出可能物品を確認。車椅子やポータブルトイレなど。
- 移動手段の手配:介護タクシーや福祉車両は早めの予約を。乗降時の介助体制も確認。
外泊・旅行時の心得とヒント
宿泊先での注意点
宿泊施設を選ぶ際は、まずバリアフリー設備の有無を確認し、介助が必要な場合は予約時に相談しましょう。食事については、量の調節や食材の柔らかさなど、特別な要望がある場合は必ず予約時に伝えておきます。また、食事の際にこぼしたりすることもあるため、エプロンや大きめのハンカチなどの食事サポートグッズを持参すると安心です。慣れない場所での宿泊となるため、普段使用している枕やパジャマを持参することで、安眠のサポートにもなります。
ゆとりある旅程作り
旅行を楽しむためには、スケジュールに十分な余裕を持たせることが大切です。休憩時間をこまめに確保し、天候や体調に応じて柔軟に予定を変更できるよう、代替案も用意しておくとよいでしょう。特に初めての旅行の場合は、1泊2日程度の無理のない日程から始めることをお勧めします。
お土産選びのポイント
旅行などに行くと、施設のお仲間にお土産をわたしたいと考える方もいるかもしれません。お土産については、施設によって方針が異なります。事前に施設のルールを確認し、他の入居者への配慮をし、迷った場合は施設のスタッフに相談するのがよいでしょう。お土産は控えめにし、むしろ旅行での思い出話を他の入居者と楽しく共有できるといいですね。
長期外泊での確認事項
長期の外泊となる場合、外泊中も利用料は通常通り発生することを念頭に置いておく必要があります。ただし、施設によっては長期外泊の際の減額制度がある場合もあるため、事前に確認しておきましょう。また、必要な書類や提出期限についても確認が必要です。外泊中も施設との連絡を密にし、体調の変化などあればすぐに相談できる関係を保つことが大切です。施設に戻った際にスムーズに日常生活に戻れるよう、旅先や自宅での宿泊でも、施設での行事予定などについても話題にしながら過ごすことをお勧めします。
外出をサポート!介護保険サービスと自費オプションの活用法
外出時のサポートには、介護保険サービスと自費で利用できるサービスがあります。ここでは、主なサービスの特徴と活用方法をご紹介します。
- トラベルヘルパー:旅行や外出に同行する専門スタッフ
- 介護タクシー:車椅子のまま乗車可能な専用車両での送迎
- 施設スタッフの同行:買い物や通院時の付き添いサービス
- デイサービスでの外出支援:小旅行やレクリエーションの提供
トラベルヘルパー
旅行や外出に同行する専門のスタッフです。介護の資格を持ち、旅行介助の経験が豊富なスタッフが、観光地での車椅子介助や食事のサポート、トイレ介助などを行います。旅行会社と提携しているサービスもあり、旅程の相談から当日のケアまでトータルでサポートを受けられます。
介護タクシー
車椅子のまま乗車できる専用車両での送迎サービスです。運転手は介護資格を持っており、自宅や施設から乗車場所までの移動介助も行ってくれます。通院や買い物など日常的な外出から、冠婚葬祭への参列まで、いろいろな用途で利用できます。予約制が一般的で、長距離の場合は料金が割高になることもあります。
施設スタッフの同行サービス
買い物や通院時の付き添いをしてくれます。慣れたスタッフと一緒なので安心して外出できる上、医療機関での状況説明なども的確に行ってくれます。ただし、施設の人員配置の都合もあるため、利用時間や曜日に制限がある場合があります。事前予約と調整が必要です。
デイサービスでの外出支援
季節の小旅行やレクリエーションプログラムを提供しています。花見や紅葉狩り、初詣など、季節に応じたイベントが企画され、同世代の利用者と一緒に楽しめます。
引用:みんなの家 三橋6丁目 介護ブログ/ALSOK介護
近くの神社まで、日光浴・散歩を兼ねたレクリエーション外出。
医療職や介護職が同行するため、体調管理も安心です。参加費用は介護保険でカバーされる部分と、実費負担(食事代や入場料など)があります。
これらのサービスは組み合わせて利用することも可能です。たとえば、デイサービスの小旅行に参加した後、帰りは介護タクシーを利用するといった方法もあります。また、施設によっては提携している介護タクシーやトラベルヘルパーを紹介してくれることもあるので、外出の際は施設のスタッフに相談してみるとよいでしょう。サービスの内容や料金は事業者によって異なるため、複数の選択肢を比較検討することをお勧めします。
外出しやすい老人ホームの選び方!入居前の確認ポイント
外出を楽しみたい方は、入居前に以下の点を確認しましょう。
- 施設の外出規則:届出の方法や条件の確認
- 外出サポート体制:スタッフの同行サービスなどについて
- 施設周辺の環境:商店街やカフェなどの利便施設
- 送迎サービス:通院や買い物時の交通手段
特に気になる点は、見学時に具体的に質問することをお勧めします。
まとめ
老人ホームでの生活は、決して外出が制限されるものではありません。入居者の自立支援という観点からも、施設は積極的に外出をサポートしています。ただし、安全に楽しむためには、施設のルールを理解し、適切な準備を整えることが大切です。ご家族と相談しながら、無理のない範囲で外出を楽しみましょう。