老人ホームのボランティアの魅力|活動内容やメリット、注意点を解説
高齢化や介護スタッフ不足の影響もあり、老人ホームでのボランティア活動への関心が高まっています。「興味はあるけれど、自分にできるだろうか」と悩まれている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
たしかに、具体的な活動内容が分からないと、参加しようか判断しにくいですよね。
そこでこの記事では、老人ホームのボランティアに興味を持つ人に向けて、具体的な活動内容や注意点などを詳しく解説します。
老人ホームでのボランティア活動とは
まずは、老人ホームのボランティアの役割や、参加資格について把握しておきましょう。
老人ホームにおけるボランティアの役割
老人ホームにおけるボランティアは、入居者の生活を豊かにする貴重な存在です。
実際に入居者やスタッフからとても喜ばれることが多く、やりがいを感じられるでしょう。
なぜなら、老人ホームは入居者にとって安心できる場所ですが、どうしても外部との交流が少なくなりがちだからです。ボランティアが訪れることで、入居者はいつもと違う顔ぶれとの会話や交流が楽しめ、良い刺激になります。
ボランティアの参加資格
老人ホームのボランティアには、特別な資格や経験、技術は必要ありません。幅広い年齢層の人が、それぞれに合った方法で参加しています。
年齢やスキルの有無にかかわらず、「ボランティア活動への意欲」と「施設のルールを守る気持ち」があれば、多くの施設で受け入れてもらえるでしょう。
老人ホームボランティアの具体的な活動内容
老人ホームのボランティア活動とは、具体的にどのようなことをするのでしょうか。
ここでは、主な活動内容をご紹介します。
話し相手になる
老人ホームのボランティアの1つが「入居者の話し相手」です。
話を聞くというシンプルな行為が、入居者にとって大きな喜びや安心感につながります。
ボランティアの基本は「傾聴(けいちょう)」です。傾聴とは、相手の話に耳を傾け、理解しようとする姿勢で話を聞くことを指します。ボランティアで話し相手になる場合は、入居者の話を否定せず、相手の気持ちに寄り添って、共感しながら話を聞くことが大切です。
レクリエーション活動のサポート
老人ホームでは、入居者が楽しめるレクリエーション活動が定期的に行われています。
ボランティアが加わることで、以下のような入居者と個別での対応が必要なレクリエーションも実現可能になります。
- オセロ
- 囲碁
- 将棋
新聞や本を読むのが難しい入居者に対しては、代わりに朗読を行うこともあります。
このような支援は、入居者の楽しみを増やすだけでなく、スタッフの負担軽減にもつながります。
散歩や外出の付き添い
老人ホームのボランティアには、入居者の散歩や外出に付き添うものもあります。
散歩や外出は、入居者にとって、体力維持やリフレッシュに効果がありますが、スタッフだけで対応するのはなかなか難しいのも現実です。
特に高齢者はバランス感覚や筋力が低下している場合があり、転倒リスクが高いもの。ボランティアが付き添い役になると、事故を未然に防ぐことができるほか、急な体調不良にもすぐに対応できます。
介護スタッフのサポート
入居者と直接かかわらずに、介護スタッフの業務をサポートするボランティアもあります。
具体的な内容は、以下のとおりです。
- 食事の配膳
- 施設内の清掃
- リネン交換
- 備品交換など
介護スタッフはとても多忙なので、ボランティアが日常的な業務の補助を行うと、入居者のケアに集中できるようになります。
イベントやレクリエーションの企画・運営
イベントやレクリエーションの企画・運営を行うのも、老人ホームのボランティア活動の1つです。
この場合は、多くの入居者が楽しめるような以下のような取り組みが求められます。
- ダンスの発表
- 歌や楽器の発表
- 紙芝居
- ハンドメイドの体験会
ご自身の持つ資格や特技をボランティアに活かしたいという人に最適です。
老人ホームでのボランティア活動がもたらすメリット
ボランティアにとってのメリット
- 社会貢献ができる
- やりがいが感じられる
- 幅広い世代と交流を持つことで刺激が得られる
ボランティアにとってのメリットは、入居者の生活をサポートすることで、社会に貢献できる実感が得られることです。入居者やスタッフから向けられる笑顔や感謝の言葉を直接受けとることで、大きなやりがいを感じられるでしょう。
また、異なる世代の人々との交流は、新しい視点や価値観を学ぶ貴重な機会となります。
入居者にとってのメリット
- 社会とのつながりができる
- 気持ちがリフレッシュできる
- 認知機能の維持や向上が期待できる
入居者にとってのメリットは、社会とのつながりができることです。ボランティアの人との出会いやかかわりは、入居者の日常に変化をもたらし、気分転換になります。
外部の人との交流が心身を刺激し、認知機能の維持や向上に役立つことが期待できます。
老人ホームにとってのメリット
- 業務負担が減り、質の良いサポートができるようになる
- 老人ホームが明るい雰囲気になる
- 地域とのかかわりが持て、開かれた老人ホームになる
老人ホームにとってのメリットは、ボランティアの協力によって、スタッフがケアに集中できることです。入居者に笑顔が増えると、施設全体の雰囲気が明るくなります。
ボランティアで地域との交流が増えると、開かれた老人ホームになり、より良い運営につながります。
老人ホームのボランティア活動の始め方
老人ホームでのボランティア活動に参加する方法は、主に以下の3つです。
- 老人ホームに問い合わせる
- NPO法人や社会福祉協議会の募集に応募する
- ボランティア募集サイト・マッチングサービスを利用する
老人ホームでのボランティアは、インターネットで検索すると便利です。
老人ホームのなかには、施設のホームページやSNSでボランティア募集の案内を掲載しています。
高齢者支援を行うNPO法人や社会福祉協議会も、ホームページでボランティア募集や案内をしているところがあります。
また、ボランティア希望者とボランティアを募集している施設をつなぐマッチングサイトを活用してもいいでしょう。老人ホームのボランティア募集を行っているマッチングサイトは以下の2つです。
マッチングサイトを利用すると、自分に合ったボランティアを見つけやすいでしょう。
老人ホームのボランティア活動で注意すべき6つのこと
老人ホームでのボランティア活動を行う際には、以下の6つに注意しましょう。
- 体調管理をしっかり行うこと
- 笑顔・挨拶・マナーを欠かさないこと
- 入居者の気持ちを尊重すること
- 認知症への理解を深めておくこと
- 職務権限を侵さないこと
- 入居者や施設のプライベート情報を外部に漏らさないこと
最も大切なのが、体調管理です。老人ホームの入居者は免疫力が低下していることが多いため、ボランティアに行く際は、体調管理をしっかり行いましょう。
ボランティアにとっては軽い体調不良だとしても、入居者にとっては重症化するリスクのある風邪や感染症かもしれません。そのため、発熱や風邪の症状、体調不良がある場合は、ボランティアに参加しないようにしましょう。
また、ボランティアは、あくまで介護スタッフのサポート役です。専門的な介護や医療行為を行うことはできません。ボランティアはスタッフに依頼された役割を、責任を持ってやり遂げることが求められます。
たとえ「ちょっとトイレまで連れて行って」と、入居者から介助を頼まれたとしても、ボランティアは自己判断で行動することは避けましょう。介護や医療行為は、専門スタッフの職務であり、何か問題が起きたときにボランティアが責任を取れないからです。
対応に困ることがあれば、必ずスタッフに相談し、アドバイスを求めましょう。
老人ホームのボランティアで「豊かな人生経験」を
老人ホームのボランティア活動は、入居者とボランティア、老人ホームにとって多くのメリットをもたらす、とても価値のある取り組みです。ボランティア自身も豊かな人生経験を得ることができるでしょう。
しかし、ボランティアは自発的に行うもの。何らかの理由で活動が難しい場合は、所属する団体や施設などに活動辞退の連絡をすれば問題ありません。「やってみたい」という気持ちがあれば、気軽に始めてみてもいいでしょう。
参考:
老人ホームでのボランティアで知っておきたいことは?活動内容や注意点等について解説|Cocofump
老人ホームでのボランティア|活動内容や注意したい6つのこと|日刊介護新聞